大判例

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東京高等裁判所 昭和45年(行ケ)74号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕二 そこで、本件審決を取り消すべき事由の有無について検討する。

本願考案の対象である手袋がメリヤス製品に属すること、本願考案のステッチ(縫目)と同一であるステッチが、ズボン下、肌着、下衣類などのメリヤス製品の縫着手段として古くから広く採用されていることは、当事者間に争いがない。原告は、本願考案は「手袋」という物品において本願考案の要旨記載のような構造にしたところに考案が存する旨を主張するが、本願考案にかかる構造のうち、手先部1の編終端と手首部2の編終端と突合せにした部分の構造は、古くからメリヤス製品の縫着手段として用いられていることは、前述したとおりであつて、このような縫着手段を用いた構造の手袋を考案することは、当業者にとつて、きわめて容易であると認めるのが、相当である。けだし、当業者がその分野のうちのある物品において用いられた構造をその分野における同種の他の物品の構造に利用することは、この点につき格別反証と認むべきもののない本件においては、きわめて容易に推考することができるものと推認するほかないからである。

原告は、本願考案はこの部分を、本願考案の如く縫着する特殊な縫機によつて、縫着することができるから、製作が容易であつて、製品を安価に供給することができる効果を有する旨を主張する。しかしながら、本願考案が原告主張のような特定の縫機によつて縫着することを本願考案の必須の要件とするものでないことは、先に認定した本願考案の要旨に徴し明らかであるのみならず、原告主張の特定の縫機によつて本願考案の構造の手袋を製作することができる以上、これをこのような機械に依存することなく手作業することが不可能といえないことは自明である。原告主張の製作の効率のごとき効果は、前記本願考案の要旨にかんがみるときは、本願考案の構成自体にもとづく効果とは認めがたい。したがつて、この点についての原告の主張もまた、採用することができないし、本願考案の進歩性を否定する叙上判示に影響することでもない。

したがつて、本願考案は本願出願前の公知事項にもとづいて、当業者がきわめて容易に推考できるものとした本件審決には、原告主張のような違法があるということはできない。

三 よつて、本件審決の取消を求める原告の請求は失当であるから、原告の本訴請求を棄却……する。

(服部高顕 滝川叡一 奈良次郎)

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